借金の返済ができないときの債務整理の種類と費用の相場とは

「債務整理」と呼ばれる言葉をご存じでしょうか?

全く知らない人もいれば、お世話になった人もいるでしょう。またテレビなどの媒体で言葉だけは知っている人も少なくないと思います。

債務整理とは「債務(負債)を整理する制度」のことを全体的に表現した言葉であり、実際に債務を整理する制度にはいくつかの種類があります。

大きく分けると「民事的に行う制度」「裁判所が仲介する制度」があり、また効力や手続きにかかる手間、費用にも大きな違いがあります。

それでは、その債務整理ですが

借金の返済ができなくなると考えなくてはいけない…債務整理について考えてみましょう。

債務整理とは借金のこと

債務とは負債であり借金のことです。借金は「金銭消費貸借契約」によって結ばれる、お金の借り入れ行為であり、金利や返済期日などが定められます。

借りたものは返済するのが当たり前ですから、借り入れした人は契約書に従って返済を行わなくてはいけません。

債務整理とは金銭消費貸借契約で定められた返済ができなくなることで、債務者が法的に債務を整理する制度で債務者の生活救済を目的としています。

借金の返済方法は3種類ある

金銭消費貸借契約で定められる返済方法には大きく以下の3通りがあります。

・ 指定期日に利息を加えて一括返済する
・ 最終返済期日を設定して分割で返済する
・ 借入限度額を設定してその枠内で借入、返済を繰り返す(毎月最低でも金利は払う)

個人間での借金では指定期日に一括で返済する方法が多いようですが、金融会社からの借り入れでは分割で返済する方法が大部分です。

しかし、この契約で定められた返済が履行されなくなると、債権者(お金を貸した人)は契約書に従って様々な対応を取ることになります。

借金の返済をしないと取り立てが来るの?

借金の返済が滞ると、まず債権者は債務者に対して督促を行います。督促の最初は郵便物で返済を促しますが、返済が再開されないと電話連絡や訪問による面談を受けることになるでしょう。

そして2ヶ月程度支払いが停止すると、今度は法的な対応を取ることになります。返済が数ヶ月停止した場合に債権者が取る対応は以下のような行為です。

【返済滞納時に債権者が行う法的行為】
・ 代位弁済を求める(銀行などの融資で保証会社が付いている場合)
・ 裁判所に訴訟を起こす(裁判所から支払い命令が出る)
・ 強制執行を申し立てる(担保、給与、資産など)
・ その他

このように借金の返済ができなくなると、裁判所へ提訴されて強制執行で資産を奪われてしまうことになります。また仕事をしている人は、給与やボーナスの一部を差押えらえてしまい、生活に大きな支障が出てしまうでしょう。

債務整理は

借金は契約によって借り入れしたのだから、原則として返済しなくてはいけません。これは当たり前です。貸した方も自分の資産を貸しているのですから、返して貰えないと場合によっては生活に支障が出る可能性もあります。

しかし、何らかの事情により返済したくてもできなくなることもあります。仕事を失ったり、病気で働けなくなったり…と理由は様々であり、自分や家族の生活を維持すこともできなくなると、借金の返済どころではなくなります。

そこで借金の返済で苦しんでいる人を、法的に救済して生活の立て直しを図るのが債務整理の法的な意義になります。

債務整理には4つの種類がある

債務整理と言ってもそれはあくまで総称であり、実際には4種類の制度から成り立っています。

【債務整理の種類】
・ 任意整理
・ 個人再生
・ 特定調停
・ 自己破産

4種類の債務整理にはそれぞれ特徴があり、メリットやデメリットも存在しています。債務整理を実際に行う人が、その状況によって選択しなくてはならず、慎重に考えなくてはいけません。

また任意整理は民事的な制度で、裁判所などの公的機関は一切介入しません。その他の制度は裁判所が介入し、調停や判決を行うことで整理を行います。

債務整理と一言で言っても制度によって違いがあることを理解しましょう。

民間同士の話し合いが基本の任意整理

任意とは「その人の思いのまま、任せること」であり、任意整理はあくまで強制ではなく、債権者、債務者の話し合いによって債務を整理させる制度です。

借金をする際の金利が高く、月々の返済が難しくなったケースでは、金利を低くすることで返済が正常化することがあります。

例えば、年利17%で100万円の借金をしていると、利息だけで年に17万円を支払わなければいけません。そこで話し合いによって年利を3%に変更することができれば、年間の利息は3万円になり、月々の返済が1万円以上も減り元本の返済ができるようになります。

しかし、これはあくまで債権者の同意が必要で、債務者の一存では決めることはできません。したがって任意整理を債権者に提案しても断られることは珍しくなく、債権者を納得させる材料を持ち合わせることも重要なポイントになります。

過払い金請求には任意整理を利用する

テレビで弁護士事務所や司法書士事務所のCMを見ることがありますが、その多くが「過払い金請求」についての広告になります。

過払い金とは「貸金業者に対して返済し過ぎたお金を返してもらう請求行為」のことで、10年間で利息を100万円支払ったが、法律的には60万円が利息の上限であり、差額の40万円を過払い金として返して貰うことになります。

この過払い金請求を行うのも任意整理であり、弁護士や司法書士に代理人を依頼して、各金融業者と民事的な話会いを行い、過払い額を決定し、必要であれば「過払い金返還訴訟」を経てお金を返還してもらいます。

なぜ過払い金が発生するのか

日本では2010年まで「利息制限法」「出資法」に定められた利息の上限に違いがあり、一般的に金融業者は利息の高い出資法をよりどころとして営業を行っていました。出資法はあくまで会社に対する出資を目的にした法律でしたが、罰則規定もなかったことから金融業者(主に消費者金融)などは高利で営業を行っていたのです。

しかし、社会問題となった「サラ金地獄問題」を経て、出資法は段階的に利息制限法に上限利息を合わせるようになってきました。そして2010年には基本的に利息制限法も出資法も同じ金利となったのです。

しかし、それまでに支払った金利の中には利息制限法を大きく超えるものも数多くあり、それらは法廷での判断により利息制限法を超える部分は無効となりました。

過払い金の本質はこの2010年までに利息制限法を超えた部分の利息の返還であり、それ以降、過払い金は原則として発生していないはずです。(一部の違法業者は除く)

現在の任意整理は過払い金返還対策がメインになっている

任意整理は債権者、債務者で話し合いにより債務を整理する制度ですが、実際には簡単にまとまることは期待できません。したがって現在、任意整理で主に行われているのが「過払い金返還」になります。

弁護士や司法書士へ相談し、過払い金がある場合に任意整理を行うことが多く、過払い金が期待できないケースでは、任意整理以外の債務整理を勧められることになるでしょう。

その意味では「任意整理=過払い金返還」が現状の姿と言えるかもしれません。

任意整理にかかる費用の相場はどの程度か?

弁護士にかかる費用は主に3つの費用から構成されています。

・ 着手金
・ 成功報酬
・ 減額報酬

着手金は弁護士が作業に着手する際に請求される報酬で、弁護士事務所によって任意に設定されている場合が多いようです。相場は債権者1社あたりで2万~5万円程度と思って下さい。例えば5社から借り入れをしているケースで着手金が3万円であれば、15万円の着手金が必要になります。

次に成功報酬ですが、これは1社あたり2万円以下と規定されています。ただし多くの弁護士事務所では着手金を取る代わりに成功報酬を無料としている事務所も多く、特に着手金を高く設定している事務所では、成功報酬を設定していません。

減額報酬とは任意整理によって実際の借金が減額されたことに対する報酬で、上限が10%と規定されています。例えば合計で200万円の借金がある場合、任意整理で借金が140万円にまで減額すると、減額した分の60万円の10%が減額報酬となります。

過払い金に関する費用はどうなるのか?

以上は通常の任意整理で必要な費用ですが、過払い金返還が発生した場合には過払い金に対する成功報酬であり「過払金報酬金」を支払う必要があります。

過払金報酬金の上限は20%と日弁連で定められており、その範囲内で各弁護士事務所が設定しています。以上を踏まえて、ある弁護士事務所の任意整理の費用を算出してみましょう。

【例:5社の金融業者から300万円の負債のある人が、弁護士へ債務整理を依頼したところ、400万円の過払い金が発生し、負債が無くなったばかりか、100万円を受け取ることができた】

①着手金    :20万円(4万円×5社)
②成功報酬   :なし
③減額報酬   :30万円(300万円×10%)
④過払金報酬金 :20万円(100万円×20%)

このように合計で70万円の費用が必要になります。金融業者から返還された100万円の中から70万円を弁護士費用として支払う必要があります。また過払い金の返還が話し合いでまとまらずに、訴訟へ進んだケースではさらに訴訟費用が加算されますので覚えておきましょう。

個人で民事再生を行うのが個人再生

民事再生とは会社が破綻した場合に、メインバンクなどからの支援を受けることを条件に、裁判所へ再生計画を提出し、それによって会社の再生をはかる制度ですが、民事再生の個人版が「個人再生」です。

個人再生は裁判所に再生計画を提出することで、その計画を裁判所が認可することが必要です。したがって債務者の現状がその再生計画を十分に、実行できる状態かが重要であり、さらに債権者が納得するものでなくてはいけません。

個人再生は原則として3年間での完済を目指す

個人再生を行うと債務者は債務を圧縮した上で、3年間で全ての債務を完済しなくてはいけません。債務の圧縮は最大で1/5であり、500万円の借金のある人であれば、100万円を3年間で分割返済することになります。

計画通りに3年間で圧縮された債務を完済することで、本来の債務が全て無くなることになり、全ての借金が完済されたことになります。

個人再生は裁判所との約束

個人再生は裁判所に再生計画を提出して、認可を受ける手続きなので、その履行は裁判所との約束となります。つまり、計画通りの返済が実行されないと、裁判所は債権者の有利な手続きを即座に認めることになり、資産や給与などの差押えが強制執行により行われることになります。

個人再生が認められた場合には必ず実行することが大切です。

住宅を手放したくない人にお勧めの債務整理が個人再生

個人が持っている借金の中には住宅ローンが含まれていることがあります。原則として債務整理は全ての借金を整理するのが目的であることから、住宅ローンも個人再生に加えなければいけません。

しかし、住宅ローンは自宅を抵当権に設定していることから、債務整理を行うと差し押さえられて競売にかけられることになります。

そこで債務整理は行いたいが自宅は手放したくない人は、個人再生の「住宅資金特別条項(住宅ローン特例)」を利用します。住宅ローン特例とは個人再生を行う負債の中から、住宅ローンだけを除外する特例措置であり、再生計画の中に住宅ローンを加えなくても済む特例措置です。

そうなると住宅ローンの債務は圧縮されず、今まで通りの返済を行う必要がありますが、自宅を差押えられることはなくなります。

例えば住宅ローンで2000万円、その他の金融会社に300万円の借金があるケースでは、300万円を最大60万円に圧縮して、それを3年で返済します。住宅ローンはそのまま返済しますので、特に影響はないと言うことです。

個人再生で必要な費用の相場はどのくらいか?

個人再生の手続きでは「住宅ローン特例」の使用有無により費用に差が出ます。大手の弁護士事務所では住宅ローン特例を使用しない案件で40万円程度、住宅ローン特例を適用する案件で50万円程度の費用が相場となっています。また裁判所の判断によっては、再生委員が選任される可能性がありますが、そうなった場合には裁判所に支払う費用として15万円程度が別途必要になります。

【例:住宅ローン特例を利用して個人再生を行い、300万円の債務が60万円の3年返済に決まった】

①着手金      :50万円
②成功報酬     :なし
③裁判所へ支払う費用:15万円

つまり債務を圧縮して50万円以上の効果が認められないケースでは、個人再生を選択しても意味がないことになります。また再生委員が選任されるケースでは、65万円以上の効果が分岐点になります。

上記した例では240万円の債務削減効果が見られるので、自宅を手放さずに個人再生を行うことは有効だと判断できます。

相手を絞って自分でできる債務整理が特定調停だ

任意整理も個人再生も代理人として弁護士や司法書士に依頼することが多く、多額の代理人費用が必要です。返済不能に陥った借金を整理するのに多額の費用が必要とは皮肉な話ですが、法的な手続きが複雑な状況では仕方がないことかもしれません。

しかし、お金を借りている債権者が少ないケースでは、何とか自分の力で債務整理ができないかと考えてしまうでしょう。そのような状況でお勧めしたいのが「特定調停」です。

特定調停は一定の債権に対して調停を申し込む制度

基本的には債務整理は全ての債務に対して、平等に整理を行わなくてはいけません。しかし、特定調停は一定の債務に対してのみ、調停を申し込むことが可能で、調停の結果は任意整理と違い判決と同じ効力があります。また相手が少ないことから代理人に頼らないで、自分で公的な手続きを行うことができるのです。

例えば5社から借り入れをしていても、その中の1社が特に金利が高く、合計の残高に占める割合が高ければ、この1社のみを債務整理することで返済を正常化させることができます。このようなケースではこの1社に対して特定調停を申し込み、金利の軽減や元本の減額などを話し合い、債務の正常化を図るのです。

このように特定調停は一定の債権者のみに対して行うことが可能ですが、反対に債権者から調停を断られることも珍しくありません。

特定調停は代理人がいなくても申し立てができる

特定調停は全ての債権者が対象ではなく、1社ごとに行う調停です。つまり調停にかかる手間や作業が少なく、弁護士や司法書士などの代理人を立てる必要なく、自分自身で裁判所へ申し立てを行うことができます。

しかし、自分で行う以上、申し立てを行う前に裁判所で「手続きの方法」や「必要書類の確認」などの説明を十分に受けて、間違いのない申し立てを行わなくてはいけません。また、実際の調停は裁判所が任命する調停委員が行うことから、調停委員が十分に理解できる資料を準備することも大切です。

調停委員は裁判所が任命した弁護士資格者が主ですが、中には債務整理については詳しくない人もいます。曖昧な資料で説明すると、債権者の方が有利な調停案を作成されてしまい、特定調停を行った意味が無くなってしまうこともあります。

特定調停は自分でできる債務整理ですが、それだけに専門的な知識と準備が重要な要素になると覚えておきましょう。

特定調停で必要な費用の相場はどのくらいか?

特定調停は自分で申し立てを行うことができる債務整理ですから費用は格安です。裁判所への申立てに1社あたり500円の収入印紙と郵便代として420円が必要です。

【例:5社から借り入れをしている状態で2社に特定調停を申し立てる】
① 裁判所への申し立てに必要な収入印紙 :1000円(500円×2社)
② 裁判所からの郵送物代金       :840円(420円×2社)

2社に特定調停を申し立てるケースでは、裁判所へ支払う費用は合計で1840円です。代理人を立てる債務整理では数十万円かかるのですから、格安と考えても良いでしょう。

しかし、これはあくまで裁判所へ支払う費用であって、何回も裁判所で説明を受けたり、膨大な資料を作成したりする手間は含まれていません。

また特定調停は断られる(不調)可能性も高いことから、安くできることだけを考えて、安易に行うことは危険だと思います。

特定調停も弁護士などの代理人に依頼することが可能ですが、その場合では任意整理と同等程度の費用が見込まれます。弁護士によっては特定調停を引き受けたがらない場合もあるようです。

借金が全て消滅する究極の債務整理が自己破産だ

「破産者」と呼ばれる言葉をご存じだと思いますが、これは債務整理における自己破産の申し立てにおいて、裁判所から「破産開始決定」の許可を受けた人のことを言います。

借金が増えすぎて現在の収入ではどのような手段を行っても、返済が不可能な場合に選ばれる債務整理が自己破産であり、一部の税金などを除いた全ての債務を消滅させることができます。つまり、自己破産をすることで借金が全て無くなるのです。その意味で自己破産は究極の債務整理と思っても良いでしょう。

自己破産手続きでは免責を得ることが重要

自己破産の手続きは複雑であることから、代理人である弁護士や司法書士に依頼する必要があります。まず彼らは債務者の借金の全てを調べて、「債権者」「債権額」を確定させます。その後に裁判所へ自己破産の申し立てを行うのですが、ここで重要なのが自己破産決定後に免責を得ることです。

実は自己破産が認められて破産者となっても、それで借金が消滅することはありません。あくまで破産決定後に免責許可を得なくては、借金は全て残ることになります。その意味で自己破産は「破産決定」と「免責許可」の二本立ての制度であることを理解しましょう。

自己破産と破産管財人の関係

自己破産では債務者に一定の資産を持っている場合と、全く資産がない場合があります。破産者となると債務者が保有している一定の資産は、売却して債権者に分配しなければいけません。分配資産には不動産や一定以上の価値のある物(時価20万円以上:自動車、宝石など)が上げられますが、多くの債務者はそのような資産を持っていることはないでしょう。

しかし、中には不動産(自宅)を保有していたり、個人事業者で設備を保有していたりする場合があります。そのような案件では裁判所が「破産管財人」を任命して、財産の調査を行うことになります。破産管財人が任命された案件では、調査に時間がかかることから、自己破産の手続き自体が遅くなることになります。

個人で資産がない債務者の案件では「破産開始決定」と同時に「同時廃止」となり、破産の手続きが終了しますが、資産があると同時廃止は使えず、時間がかかるのです、

免責不許可事由に該当すると免責が得られなくなる

破産手続きが終了すると、次に免責の手続きが開始されますが、中でも注意したいのが「免責不許可事由」と呼ばれる項目で、これに該当すると免責を得ることができなくなります。免責不許可事由にはいくつかの項目がありますが、その多くは「借金をどのような目的で使ったか?」を問われます。

【免責不許可事由(抜粋)】
・ ギャンブルや賭博行為で作った借金か?
・ 金融商品のFXや信用取引で作った借金か?
・ 虚偽の内容で作った借金か?
・ 収入に見合わない浪費によって作った借金か?
・ 一部の債権者のみ優遇して返済していないか?
・ 財産や資産を不当に隠匿したり破壊したりしていないか?
・ クレジットカード現金化などの不当な行為を繰り返していないか?
・ その他

免責不許可事由は免責審尋と呼ばれる裁判所での面接で確認されることが多く、これに該当すると免責許可を得られない場合もあります。また債権者サイドから免責不許可事由を指摘されることもあり、特に友人など一定の債権者のみ優先的に返済した場合には、他の債権者から異議申立てが出ることがあります。

自己破産が決定しても免責が得られないと、借金は消滅せずに返済義務がそのまま残ります。免責不許可事由には該当しないように十分注意しましょう。

自己破産で必要な費用の相場はどのくらいか?

自己破産は手続きが難しいことから、弁護士や司法書士へ依頼することが多いのですが、報酬は各法律事務所によって違いがあります。

【同時廃止案件で自己破産を依頼する】
・ 着手金:30万円

【管財事件案件で自己破産を依頼する】
・ 着手金:40万円
・ 管財人引き継ぎ費用:20万円

管財事件案件とは分配する資産があり、裁判所から破産管財人が任命された案件で、手続きが長期化し作業も多くなることから費用が割高となります。

また注意したいのが保証人の存在です。夫名義の借金であっても、妻が連帯保証人になっているケースでは、夫だけが自己破産しても債務は連帯保証人へ移行するだけです。このような状況では夫と妻が同時に自己破産をしなければ、借金がなくなることはないでしょう。

そうなると自己破産にかかる費用も2倍になることを忘れないようにして下さい。

各債務整理のメリットとデメリットを比較してみよう

大まかに4つの債務整理と過払い金返還について説明しました。どの債務整理にも大きなメリットがありますが、反対にデメリットもあることを忘れてはいけません。各債務整理のメリットとデメリットを確認しましょう。

任意整理のメリットとデメリット

任意整理のメリットは裁判所を仲介することなく、民間の話し合いで債務整理が行えることです。例えば銀行に行って「もう少し金利下げて下さいよ」とお願いするのも任意整理の一つであり、複数の債権を「おまとめローン」で一本化するのも任意整理です。しかし、任意整理の大きなメリットは、はやり過払い金返還に関する手続き。特に2010年以前の借金については効果が大きいと言えます。

反対にデメリットは民間の話し合いのために、債権者が同意しないことがあります。また同意しても過払い金がない場合、減額が少なく、他の債務整理に劣る可能性もあります。

【任意整理メリット】
・ 裁判所を通さないので手続きが早い
・ 法的拘束力はないが自分でできる
・ 過払金が見つかると借金の減額や返還の可能性がある

【任意整理デメリット】
・ 法的効力がないので断られることがある
・ 代理人費用が高い
・ 過払金がない場合は減額効果が少ない

個人再生のメリットとデメリット

個人再生のメリットはまず債務が最大で1/5に減ることです。また住宅ローン特例によって住宅ローンを除外することも可能です。ただし個人再生を裁判所に認めてもらうには、しっかりとした収入と返済計画が必要でハードルは高めだと思って下さい。

【個人再生メリット】
・ 借金が最大で1/5にまで減額されて返済が楽になる
・ 住宅ローン特例で自宅を手放さなくて済む
・ 3年間で返済すれば全ての借金が完済となる

【個人再生デメリット】
・ 裁判官を納得させる再生計画と収入の確保が必要
・ 官報に個人再生として名前や住所が記載される
・ 途中で返済が滞ると強制執行に移行されやすい
・ 代理人費用が高い

特定調停のメリットとデメリット

特定調停は債務者自らが手続きをすることができる裁判所の調停ですが、費用を抑えることができる代わりに、大きな労力が必要になります。また調停委員に内容を理解してもらえないと、思った通りの効果がでないこともあることから、十分に準備をして行うようにしましょう。

【特定調停メリット】
・ 調停を行う債権者を任意で選ぶことができる
・ 代理人が必要ないので費用が安くて済む

【特定調停デメリット】
・ 自分で全ての作業を行うので大変な労力と勉強が必要
・ 過払金が発生しても特定調停の中では話し合えない(別途訴訟が必要)
・ 調停内容を履行しないと強制執行に移行されやすい
・ 調停委員が借金の専門家でないこともあり、調停が不調に終わることがある

自己破産のメリットとデメリット

自己破産は全ての資産を取り上げられてしまうイメージがありますが、実際には一定の現金や家財道具の大部分は保有し続けることができます。また税金の滞納分などを除き全ての借金が消滅することから、無借金での生活をスタートすることができます。

【自己破産メリット】
・ 全ての借金の返済義務が消滅する
・ 一定の現金や財産は保有することが認められる
・ 免責を得られれば復権となり破産者ではなくなる

【特定調停デメリット】
・ 復権するまで一部の職業に就くことができない
・ 99万円以上の現金や時価20万円以上の財産は没収される
・ 官報に自己破産者として名前や住所が記載される

全ての債務整理で共通するデメリットがブラックリストだ

銀行、クレジット会社、信販会社、ローン会社、消費者金融など全ての金融会社で使われているのが、「信用情報機関」と呼ばれる個人情報を管理している会社です。ここには個人の金融会社での借り入れ状況や事故状況が管理されており、特に債務整理を行うと「事故案件(ブラック)」として記録されることになります。

俗に「ブラックリスト」と呼ばれているのがこの情報であり、一旦登録されてしまうとそれ以降の金融取引に大きな支障が出ます。新たに借金を申し込んでも断られたり、クレジットカードが作れなくなったりするのは当然ですが、住宅ローンや学資ローンも原則として利用できなくなるでしょう。

日本では信用情報機関大手が3社あり、それぞれ規定でブラックリストの消去を行っています。大まかな目安は以下の通りです。

・ 任意整理:約5年
・ 個人再生:約5年
・ 特定調停:約5年
・ 自己破産:7年~10年程度

支払いが困難な場合は早めに債務整理を検討しよう

始めは問題なく返済していた借金でも、ちょっとした出来事で支払いが難しくなることがあります。特に転職や会社の倒産では収入に変化が出て、今まで通りの返済が維持できなくなるでしょう。そのような状況下で考えるのが、新たな借金をすることですが、それでは自転車操業に陥ってしまいます。

借金を借金で返済することは不可能です。そのことを十分理解して、早めに債務整理を検討しましょう。日本の債務整理制度は追い込まれた債務者を、再スタートさせる優れた制度です。よく内容を理解して自分の状況に合った制度を利用して下さい。